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不登校・ひきこもり〜「癒し」と「自分探し」の過程(プロセス)

不登校やひきこもりの原因が何なのか、よく聞かれます。

ここで言う原因とは、不登校や引きこもりに至るきっかけや元となった目に見える出来事や状況を指します。なぜ原因を知りたくなるかというと、不登校やひきこもりといった「問題」が生じた原因を取り除けば、不登校やひきこもりが「治る」のではないか、という予見がその奥にはあるのではないかと思います。しかし、仮に目に見える原因を取り除けたとしても、ほとんどの場合は「治り」ません。

それはなぜか? 不登校やひきこもりは「問題」でも「治す」ものでもないからです

                *背景に疾病や障害がある場合は、「治療」も並行して行われることが必要です

 

私たちは、不登校やひきこもりは成長の「過程(プロセス)」であるということに着目した支援を行っています。私たちは人生を歩んでいく中で、様々な苦難を経験します。その苦難によって、時には傷つき、辛い思いを乗り越えながら、成長していくものです。多くの苦難は一人ひとりが自分で乗り越えていきますが、時にはひとりでは乗り越えられない大変な事態もあることでしょう。不登校やひきこもりもそのような苦難の一つ、誰もが経験する可能性のある「過程」です。これが、不登校・ひきこもりは「問題」ではない、ということの一つの答えになります。

 

不登校やひきこもりの原因として、確かなことがあります。それは、人々は不登校やひきこもりになる前までに、心に大きな傷を負っているということです。多くの場合、心の大きな傷が不登校やひきこもりを引き起こしています。そのような大きな傷は心にあるので、大変見えづらく、人々は原因を目にみえる具体的事実に求め、それを取り除いて「問題」を解決しようとします。しかし、心の傷に目を向けずに「問題行動」を修正・改善しようとすることはほぼ困難です。なぜなら、小さな傷つきや、小さな傷が治る前にさらに傷つくことを繰り返すことによって、心の傷は知らず知らずのうちに、いつもの行動ができないほどに深くなってしまっているからです。仮に不登校やひきこもりの原因が取り除けたとしても、深い心の傷が放置され、さらに深く傷つけられていては、新たな歩みを始めるどころか、状況はさらに悪化していきます。

 

不登校・ひきこもりの支援で最初に取り組むべきこと、それは「傷を癒す」ことです。身体の傷は見えやすく、心の傷は見えにくいという違いはありますが、その癒し方は共通しています。かつて身体の傷は、傷を消毒して、ガーゼを当てて、傷を乾かし瘡蓋(かさぶた)を作って治療していましたが、今は、傷をきれいに水で流し清潔にして、湿潤を保ちながら保護して自然治癒力によって回復することが推奨されています。これを心の傷に当てはめてみましょう。

 

心の傷は気づかれにくいので、傷ついても保護されず乾燥して瘡蓋になります。小さな傷はいずれ瘡蓋が剥がれて治るのですが、無理に剥がしたり、剥がれた直後に傷つくと傷は再び深くなってしまいます。そうならないように、できるだけ傷を作らない、傷ついてもできるだけそれに早く気づき、傷を保護しながら癒せる環境を用意することが大切になります。傷が小さくても大きくても、傷を癒すには、傷が深くなったり傷を汚染したりする要因をできるだけ遠ざけ、傷に触らずに自己治癒力によって傷が回復することを待つことが必要です。具体的には、心の傷の原因となるストレスと上手に付き合えるようにする、苦しい時にひとりで抱えずに相談できる相手を作るなどが予防的な対処として有効です。傷が深い時には、ストレスをできるだけ避け、その時々にできることを行いながら、無理せずに過ごす、傷が癒えてきたら様子を見ながら、新たな「自分探し」にチャレンジする、つまり、傷が癒えるまでは、余計なことはせず、そっと大事にしておくことが肝要です。それが「見守り」と言われる所以です。癒しの段階での家族の役割は非常に重要で、私たちの支援もそこに重点を置いています。まずは家族での穏やかなコミュニケーションを通した関係性の再構築を行います。うまくいかないことも多いので、不安になりがちですが、第三者からのサポートを受けることで、気持ちを立て直すことができます。

深い心の傷を癒すには想像以上の時間を必要とします。どうしても焦ったり、諦めたりしがちになりますが、信頼できる人とのコミュニケーションによる安心感が癒しを助けます。癒しの「過程」を経て、「自分らしく」「豊かに」生きるための新たな「自分探し」の「過程」が始まります。これが「治す」ものではないというもう一つの答えです。

 

この話題、しばらく続けてみようと思います。

 

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